「読書」というカテゴリを設けていないことからも分かる通り、私はそれほど多くの本を読む訳ではありません。
読まないことはないんだけど、三大趣味にかけている時間に比べれば少ないということです。
それでも村上春樹さんのことは好きで、特に「ノルウェイの森」は間違いなく人生の一冊。
18歳の時に買った文庫本は、今までに250回は読んでいてボロボロですw
村上春樹さんの小説って、「好きな人」と「好きじゃない人」とに綺麗に二等分されますよね。
好きじゃない人の主な主張は、①ストーリー展開や結末が分かりにくく爽快感がない、②もって回った表現が多く一文が長すぎる、③性表現が多用され生理的に受け付けられない等だと思います。
③はまあ置いとくとして、、①は確かに私もそう思います。
淡々と時に鬱々と語られる独特の世界観はなかなか捉えどころが難しく、作者以外で一発で理解できる人はいないんじゃないかなと思うくらい。
「最も映画化が困難な小説家」と言われる所以もきっとここにあるんでしょうね。
でもだからこそ多くの人が研究対象とし、ハルキストと呼ばれる人達や文芸評論家や大学教授までもが日々議論を重ねられるんだろうなとも思います。
そして②。
壁の端から隙間なくペンキを塗っていくような文章。
これが私の村上春樹さんの文章に対するイメージで、私自身はまさにこれこそが最大の魅力だと思っています。
ストーリーを楽しんでいるのではなく、一文一文を「味わっている」感覚。
だからこそ何度も繰り返し同じ小説を読み、好きなフレーズを暗記し、そのフレーズを人生の行動規範にしているのです。
ノルウェイの森から、いくつか私の好きなフレーズを引用してみましょう。
・『僕はよく本を読んだが、沢山本を読むという種類の読書家ではなく、気に入った本を何度も読み返すことを好んだ』(冒頭の一文はまさにこれw)
・『人生に必要なものは理想ではなく、行動規範』(これも上記で似たような表現を使用w)
・『英語の仮定法現在と仮定法過去を学ぶのは、具体的に何かの役に立つというよりは、物事をより系統的に捉えるための訓練である』
・『日々あくせくと働くのは努力ではなく労働。努力とはもっと主体的に目的的になされるもののことだ』
キリがないのでやめますが、私はこういった文章を人生の多くの場面で思い出し、その文章のように生きたいと思いながら生きています。
そして疲れた時には必ずノルウェイの森を引っ張り出して、適当にページを開いてひとしきり読み、「さあ、もう一度丁寧に生きよう」と思い直して本を閉じます(これもどっかにあった表現だな~w)。
だから250回になるわけですね…。
最後に、ノルウェイの森は村上作品の中でも最もストーリー性のある小説。
もしこれを読んで受け付けられなかったら、他の作品もたぶん無理だと思います(^^;)
機会あれば読んでみてください!