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ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

進撃の巨人 本当に完結!

原作は2021年に完結していますが、今回アニメ版が完結し、ホントの本当に完結となりました。

The Final Seasonの「完結編」も半年の期間を空けて前編・後編とし、それぞれ90分枠で放送する力の入れよう。

作品の質にはもはや文句のつけようがなく、NHKの「100カメ」等でも作画を中心とした妥協を許さない姿勢が特集されていました。


何度も繰り返されていますが、本作は考察なしで理解することはほぼ不可能。

なにげない台詞、ふとしたしぐさ、風景等に意味や伏線が隠されており、原作漫画、アニメ、考察記事・動画等を繰り返し見て初めて気づくということが多いです。

あくまで考察なので、作者が本当にその意図を込めていたのかは不明ですが、そういう考察をすることが本作の最大の楽しみとなっていることは間違いない。


ということで今回は、アニメ完結後様々な考察記事を読んで「なるほど〜」と思ったものを紹介させていただきます。

珍しくネタバレ全開なので、これから見ようと思っている方は絶対読んではダメです。

まあ視聴前に読んでも何のことを言っているのかまったく分からないと思いますが…。本作はネタバレ厳禁というのが定説となっていますので。

過去最長の文章になりましたが、お読みください。

 

 

 

 

 

 

1.始祖ユミルがミカサに託した"願い"は何だったのか?

ユミルが死後2000年間、フリッツ王への愛を断ち切れなかったというのは比較的分かりやすく表現されていると思います。親を殺され、故郷を焼かれ、舌を抜かれた相手への愛を貫き通すというのはそれだけでも壮絶な話です。

ミカサの頭痛の原因は、ユミルがミカサの脳内をずっとのぞいていたことが原因でした。ユミルはミカサのエレンに対する揺るぎない愛を知るにつれ、ミカサになら自分の願いを託せると考えました。

ではその願いとは何だったのか?

それは、「愛した相手を愛し抜きながらその相手を殺す」こと。

エレンも「地ならし」によって人類の8割を殺すという暴虐の限りを尽くしました。

そんなエレンを愛してしまったミカサが、エレンの暴走を止めるためにエレンを殺してくれる。

ユミルは自分がフリッツ王に対して成し得なかったことをミカサならやってくれると信じて、その想いをミカサに託したんです。

なるほど〜。確かにこれはまったく描かれていなかった解釈ですね。


2.エレンの「駆逐してやる」の本当の意味は何だったのか?

序盤は親や故郷を奪われた巨人を駆逐するという意味だったと思います。

中盤から終盤にかけて、自分や仲間の安全を脅かす人類そのものを駆逐するという意味に変わりました。

しかし、自分達の安全を守るというのは表面的な理由で、本当の理由は別にあったというのです。

その理由とは、「あらゆるものから自由でありたいという自己の欲求」、ただ1点。

自由は本作の様々な場面で語られる最大のテーマのひとつです。

自由の翼、壁の世界からの解放、好きな方を選べ、胸張って生きろよ、フリッツ王からの解放、巨人の力からの解放etc.枚挙にいとまがありません。

そして、エレンはアニメ完結編のアルミンとの対話の中でつぶやきます。

「俺は、平らにしたかった。この景色を見たかった」と。

これこそ究極のわがまま!自己満足!

エレンは「自分以外人類が誰もいない世界を見たい」という自己の欲求のみを優先したのです。

そうでなければ仲間すら殺すことになる地ならしを選択した理由が説明できません。

家族からも仲間からも組織からも世界からも解放された、究極の自由な選択。

これが「駆逐してやる」の真の背景という解釈…。壮絶です。


3.では、アルミンとの対話シーンの意味は何だったのか?

アニメ完結編のこのシーンは原作にはなかったもので、原作の解釈に変更を加えたものと言われています。

原作ではエレン1人が地ならしの罪を負い、残ったアルミンはエレンとは別の方法で人類を救う道を模索していくという、2人の永遠の別れを印象付けるような展開でした。

しかしアニメ完結編ではアルミンがこう語ります。

「エレンに誰もいない世界を想像させたのは僕だ。これは僕たちが始めたことだ。地獄で一緒に罰を受けよう」と。

これに対し、エレンが「先に待ってる、地獄で」と応じ、アルミンの「うん、ずっと一緒だ」で終わります。

グッときますね。別れから共犯、そして再会を約束する展開に変更したことで、さらに胸に迫るものとなりました。


そしてもう1点、このシーンから読み取れることがあります。

それは、この世界の誰もが自己の欲求を一番に優先して行動しているということ。

エレンが「平らな世界を見たい」という欲求を優先したのと同じように、アルミンは「壁の向こうの世界を見たい」という欲求をエレンを利用することで実現しました。

二人だけではありません。

ミカサは「エレンと共に生きたい」、リヴァイは「調査兵団の想いを叶えたい」、アニは「お父さんの元に帰りたい」、コニーは「母ちゃんを人間に戻したい」etc.

登場人物すべてが自分の欲求のみに従って行動し、それにより世界が成り立っているという解釈…我々が生きる現実世界も同様ですね。

それが人間。それでいいのだと思います。


書き終えるのが名残惜しいですが、ここまでにしたいと思います。

進撃の巨人を世に送り出してくれたすべての皆様に感謝します。