大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

リズと青い鳥

京都アニメーションの代表作である「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ劇場版アニメで、2018年に公開されました。

7月にBS12で「アニメの夏っ!」と題して放送してくれたので、録画して見ました。


響け!ユーフォニアム」は北宇治高校を舞台とした吹奏楽部アニメです。

テレビアニメとして第2期まで放映された「本編」は、ユーフォニアム黄前久美子(おうまえくみこ)やトランペットの高坂麗奈(こうさかれいな)を中心として、友情、努力、部活内での衝突と成長etc.全体的に明るく分かりやすいストーリーになっています。

それに対して本作は、久美子の一学年上の先輩でオーボエの鎧塚みぞれ(よろいづかみぞれ)とフルートの傘木希美(かさきのぞみ)の2人にスポットを当て、最高学年ゆえの進路や人間関係に悩む姿を静謐な空気感で描いており、本編とは対照的な作りとなっています。

みぞれの無口な性格設定を利用して台詞は最低限とし、静かな音楽と風景、キャラの微かな表情や動作、劇中絵本である「リズと青い鳥」の物語等を使いながら、登場人物の心の動きを描写していきます。

本編のノリで見るとちょっと戸惑うほどの「空気感アニメ」となっていますので、そこはまずご注意ください(^^)


さてここからまた、こんなこと私しか考えないよな〜という論点で書かせていただきます。

それは「百合文化」の新しい形についてです。

百合は「女性同士の関係性」を表す言葉ですが、アニメの世界ではさらに軽いノリで使われていて、女性キャラが(信頼関係を裏づけとして)接近すると「ちょっと百合入ってるよね〜」のように言ったりします。

その意味では「まどか☆マギカ」、「とある科学の超電磁砲」、「ラブライブ!」etc.主要キャラが女性ばかりだと大なり小なり百合要素が入ります。


「ユーフォ」でも本編では久美子と麗奈、本作ではみぞれと希美がそのような関係にあるのですが、特に希美に対するみぞれの気持ちはかなり強いものです。

極度の人見知りの自分を吹奏楽部に誘ってくれた希美に対するみぞれの信頼は絶大なもので、それはもう愛情と言ってもいいレベル。

希美の一挙手一投足に一喜一憂し、希美のハグが精神安定剤、さらには希美と離れたくないという理由で同じ音大を志望します。

一方の希美は「自分には音楽の才能がないから」と志望を翻し、一般大学を受験しようとする。

このすれ違い感は、まるで男女の恋愛のように見ていて胸が締めつけられる展開です。


前置きが長くなりましたが、私はこの作品はLGBTを体現した最先端の作品なのではないかと思うのです。

これまでは百合というと何となく特殊な世界と捉えられてきたものですが、この時代にあってもはやそれは誤った捉え方であり、その展開に違和感を感じること自体が間違っているのではないでしょうか。

男女の愛情も同性の愛情も当たり前のようにある世界を描いたアニメ、それが本作なのではないかと思います。


はいっ。そんなこと私しか考えないだろシリーズは以上です!

綺麗な風景と音楽、静謐な空気感を味わいたい方にはおすすめのアニメです。

ぜひどうぞ。