大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

メイドインアビス

つくしあきひとさんの漫画を原作とするアニメ作品。

人気、評価ともに非常に高く、2017年に第1期が放映された後、2020年に続編となる劇場版「深き魂の黎明」が公開、そして昨年(2022年)待望の第2期「烈日の黄金郷」が放映されました。

私は3年ほど前に1期を見たのですが、当時はそれほど刺さらず、というか逆に受け付けられず、ブログに書くまでに至りませんでした。

その理由は後ほど書きますが、今回劇場版に続き2期を見始めたところで、少しずつこのアニメの魅力、何に惹きつけられるのかが見えてきた気がするので書こうと思います。


まず簡単に基本プロットを説明すると、主人公の少女リコと機械のような体を持つ少年レグは、世界の中心に空いている大穴「アビス」を探索するため住み慣れた街を旅立ちます。

アビスはどこまで続いているのかも分からない大穴で、過去多くの「探窟家」が冒険に出ましたが、一定の深さから先に行くと戻って来れなくなります。

その理由が「上昇負荷」と呼ばれる呪いで、アビスは下に降りる分には大きな問題はないのですが、上に上がろうとするとこの呪いにより人体に有害な影響が出るのです。

穴が深くなればなるほど上昇負荷は大きくなり、一定の深さより先では人間としての自我や姿形すら維持できないほどのレベルで、それでも無理に上がろうとすると怪物のような姿となってしまいます(これを「成れ果て」と呼ぶ)。

 

2期は「深界六層、還らずの都市」と呼ばれる世界での物語です。

ここから先は名前の通り本当に地上に戻れないゾーンで、それゆえに壮絶度もまた上がっていきそうです。

地球に二度と戻って来ない宇宙船「ボイジャー」のようで、壮絶さと浪漫が同居する物語ですね。


ただ本作は非常に人を選ぶアニメです。

好き嫌いがはっきり分かれ、好きな人は人生No.1というくらいにハマる一方、嫌いな人は二度と見たくないというくらいに二極化します。


本作を嫌いになる要因として、グロテスクな描写と鬱展開があると思います。

二度と戻れない旅という孤独感がある上に、道中出会う様々な生き物の気持ち悪さ、さらには「成れ果て」の異様さ・残酷さ等々により、見続けるのが非常に辛い…。

キャラクターは可愛らしいのにそれに惹かれて見始めると騙されるという「まどか☆マギカ」のような展開です。

私も最初はここが受け付けられず、感情移入できないまま終わってしまいました。


しかし劇場版を経て2期を見ている今、このあたりはさすがに慣れてきましたw

そして今では、これは「人生」を比喩的に描いている作品なのではないかと思っています。

松尾芭蕉の「奥の細道」やすぎやまこういちさんの名曲「この道わが旅」に代表されるように、人生はしばしば「旅」に喩えられます。

本作も、一度下がったら二度と戻れない一方通行の旅路、時に襲われ時に救われる道中の生き物達との出会いと別れ(「アビスの出会いは一期一会」という台詞もある)、レグや途中で仲間になるナナチ等のかけがえのない仲間、そして最下層に待ち受ける「奈落の底」という夢…いずれも人の一生において必ず一度は通る道なのではないでしょうか。

もちろんほとんどの方はこんな小難しいことを考えて見てはいないでしょうがw、本作にハマっている人は無意識にでもこの深い部分に惹きつけられているのではないかと思います。


冒険ファンタジーとしても質が高く、絵も可愛いのでハマればそのキャラを愛せます(個人的にはナナチの"もふもふ"が好きw)。

一定の覚悟ができましたらぜひどうぞ。