こちらも京都アニメーションの代表作品。
第1回京都アニメーション大賞の奨励賞受賞作で、原作は虎虎(とらこ)さん。
2011年にKAエスマ文庫の第一弾として小説が刊行。アニメは2012年に第1期が放映されました。
これは心理学的観点から考察したくなる作品ですね。
中二病は一般的には、「思春期にありがちな、世間一般の常識からずれた自意識過剰な言動」と定義されます。
原初は99年の伊集院光のラジオ番組のコーナー名に由来するというのも豆知識。
そして現在の中二病の典型的ファッションは、ゴスロリ、時は夕暮れ、時間は過去、異形、損なわれた身体などで形成されており、本作のヒロインである小鳥遊六花(たかなしりっか)もこの文脈で描かれます。
しかし六花が中二病を患っていることには明確な理由があり(詳細は伏せます)、自分を守るためにやむを得ず本当の自分とは違う自分を演じているに過ぎないのです。
これは現代社会を生きる人間すべてが患っている病ではないでしょうか?
毎日真面目に働くサラリーマン、一生懸命家事や子育てに努めるお父さん・お母さん、地域社会や属するコミュニティで求められる役割を果たす私達。
本当の自分はもしかしたら違う存在なのに、今の自分を守るために、その役割を演じ続けているのかもしれません。
そういう意味では私達も大きな枠組みの中での中二病と呼べるのではないかと…。
私は決してそれを否定しているわけではなく、人間社会の秩序を維持するのに絶対に必要な病、それが中二病なんじゃないかと思うわけです。
相変わらず思考が飛躍してて、こんなこと考えるのは私しかいないと思いますがww
以上のことは、私の愛読書のひとつでもある町口哲生さんの著書「教養としての10年代アニメ」も参考にしながら書いてみました。
この本は、アニメを教養(学問)の観点から再構築することにチャレンジしており、難解な部分も多いのですが私のアニメ視聴のスタンスに少なからず影響を与えています。
メインで取り上げられている7作品はいずれも10年代を代表するアニメですので、どこからアニメの世界に入っていいか迷っている方は、とりあえずここから見てみるのもおすすめです。
少し話が逸れましたが、本作品の私の推しキャラは、六花の後輩の中学生、凸守早苗(でこもりさなえ)ちゃんです。
凸守は、設定的に六花のサーバント(契約を交わした"しもべ"みたいなものw)という真性中二病で、普段はおバカな(?)やり取りばかりしている面白キャラです。
しかしその実は、家柄の良いしっかりもののお嬢様。
物語の中盤で六花が中二病を卒業していくのを泣きながら懸命に止めるのですが、これも本当は本来の自分に戻らなくてはならないことを分かっていながら、何とか自分や六花を守ろうとするための言動であり、そのいじらしさに涙が出ますね。
武器にすらなる常識では考えられない長い髪も見所ですw
なかなか難しいかもしれませんが、「中二病」という言葉だけでスルーせず、登場人物の心の動きを丁寧に追いながら見てみてはいかがでしょうか?
よーし、あとは「COPPELION」を見れば、町口さんの7作品は完了だ!