大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

COPPELION(コッペリオン)

いいかげん書かないと…。

何度も書こうとするんですけど、非常に書くのが難しく、ずっと先延ばしになってました(>_<)

でも書かないわけにいかないですもんね。

きっかけは先日も紹介した町口哲生さんの著作「教養としての10年代アニメ」で、今回もかなり参考にさせていただいてます。


本作品の扱いを難しくしている要因は、そのテーマと東日本大震災とアニメ化の経緯です。

原作は井上智徳さんが2008年から執筆し、2016年に単行本26巻で完結したマンガ。

2036年、お台場の原子力発電所で発生したメルトダウンにより死の街と化した東京において、遺伝子操作により放射能耐性を持って生まれた女子高生3人が生存者救出に乗り込む、というのが基本プロットです。

このプロットだけでも既に考えさせられる要素が満載で、2010年にはアニメ化も決定されていたようですが、2011年に東日本大震災原子力発電所の事故が起こりました。

内容的にこの事故を想起させるものであったため、地上波でのアニメ放送はされず、年代は「20xx年」、東京ではなく「旧首都」、メルトダウンではなく「事故」というように表現も変えて制作されました。

もちろん社会的事情に配慮することは必要でしたが、これによりそのテーマ性がやや後退したためネット上では賛否両論となっています。


コッペリオンというのは、フランスのバレエ作品「コッペリア」から借用されており、コッペリアは劇中に登場するからくり人形のことだそうです。

まずはここに重いテーマが設定されており、遺伝子操作により生み出された(しかも意図的に放射能耐性を付与された)人間というのは、人間と言えるのか(人形ではないのか)。

生まれた時から軍の特殊な任務遂行を義務付けられた自分達の存在意義は何なのか。

学級委員長の荊(いばら)を中心とした主人公達は苦悩します。

しかし極限状態の旧首都においても新しい命を生み出そうとする母親がおり、それを命をかけて守ろうとする人がおり、それらの人々との交流を経て荊達の覚悟も決まっていきます。その展開には心を打たれました。

そして世界が荒廃していればいるほど、変わらずそこにある太陽や僅かに残された自然が愛おしい。それが画面からも伝わってきて、やはりアニメとしてもかなり熱のこもった作品だと思いました。


アニメは原作の第一部と第二部で、アニメ化されていない第三部、第四部ではさらに世界が広がり、壮大なストーリーが展開されるようです。

環境問題と原発開発における世界各国の駆け引き、行き過ぎた科学技術開発の代償、コッペリオンが生まれてきた理由等が語られていくとのことなので、これはぜひ原作も読んでみたいですね。

また町口さんの著作で指摘されている「遺伝子操作」、「コラテラル・ダメージ」、「ハード・サヴァイヴ系」等のキーワードも、現代社会と本作を含めた最近のアニメの潮流を的確に表す内容になっており、いちいち頷けるものでした。

詳しくは冒頭に紹介した本をご覧ください(^^)


非常に深いテーマでありながら、バトル等のエンターテイメント性も兼ね備えた本作品。

読んでない自分が言うのも何ですが、(おそらく)原作から当たっていく方がいいのかな。

じっくりと腰を据えてどうぞ!