大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

オッドタクシー

昨年4-6月の放送。尊敬するアニメおたくの方からの紹介。

さすがに面白くて久々にいっき見してしまいました。

一言で言うと「今の時代にマッチしたアニメ」。

提示されるテーマや伏線、いろいろな仕掛けが現代を相当意識して作られているような気がします。


主人公の小戸川宏(おどがわひろし)がセイウチ、ヒロインの白川美保(しらかわみほ)がアルパカなど、登場人物が皆動物の姿をしておりいわゆる擬人化アニメとして進んでいきます。

こう書くと「けものフレンズ」のようなほんわか系を想像するかもしれませんが、本作はまったくの逆で、現代社会の人々をそれぞれのキャラに投影したような等身大の生々しい雰囲気が漂ってきます。

例えば、小戸川は41歳のタクシー運転手、独身。

友人の柿花英二(かきはなえいじ)は41歳の清掃員、独身。

これは今まさに40代を迎えているロストジェネレーションの人々のようです。

また、コビトカバの樺沢太一(かばさわたいち)は22歳ですが、就職活動そっちのけでSNSでバズることだけに執着する大学生。

他にも、長く下積み生活を続けているうちに相方だけ違う分野で売れてしまうお笑いコンビや、地下アイドル的活動を続けながらスターになることを夢見る女の子たちなど、現代社会でよく目にする話が多く、見ているだけでいろいろ考えさせられます。


そのような群像劇パートで惹きつけつつ、ストーリーの核となるミステリーパートに繋がっていきます。

物語の序盤から「渋谷の女子高生失踪」というニュースが示され、その真相が徐々に明らかになっていくという展開。

普通に見てても面白いんですが、ここに現代最大のメディアツールであるYouTubeを絡ませてくるのが秀逸。

初見ではまったく気づかないのですが、このアニメ、「幸せのボールペン」というアイテムが毎回本編のどこかで映されます。

このボールペンは盗聴器のように作中の音を拾うという設定になっており、その音声をオーディオドラマという形で別途YouTubeで公開しているのです。

要は本編で語られなかった隠された音声ということなのですが、これが登場人物の心情を補完したりミステリーパートのヒントを提示する効果を生み出していて、物語の深掘りや考察の一助になっています。

ですので、本編視聴時は同時並行で少しずつYouTubeの方も聴くことをおすすめします。結構…怖いですよw


個人的な推しキャラ第一位は、ヤマアラシの矢野治人(やのはるひと)。

本業はヤクザなんですが、ラップで韻を踏みながら喋り続ける様がコミカル。

切れ者設定でもあり、悪さにも何となくファッショナブルさを求めていてちょっとカッコいい。

舎弟のシロクマ、関口東吾(せきぐちとうご)との掛け合いも面白く、悪役なのになぜか憎めないキャラです。

他にもアイドルグループのマネージャーをやってるキツネ、山本冬樹(やまもとふゆき)の小市民的なところとか、警察官の双子のミーアキャット、大門堅志郎・幸志郎(だいもんけんしろう・こうしろう)の兄弟愛あたりは好きですね。


ビジュアル全盛の今のアニメ界に、作り方で十分に面白くできるという一石を投じるような作品(ポプテピピックとはまた別の軸でw)。

あまりお金がかかってなさそうなところも良い。

ぜひどうぞ。