大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

蟲師(むしし)

また古い!

原作は1999年からアフタヌーンで連載された漆原友紀さんの漫画。アフタヌーンといえば「寄生獣」が連載されていた雑誌でもありますよね!

2003年文化庁メディア芸術祭・漫画部門優秀賞、2006年講談社漫画賞・一般部門受賞、2007年文化庁メディア芸術祭・「日本のメディア芸術100選」マンガ部門選出と、いろいろとすごい作品です。

アニメは2005年に第1期、2014年に第2期が制作され、トータルで50話くらいあります。

今回は第1期26話を視聴しました。


舞台背景は日本の江戸時代頃の設定。

皆粗末な着物を着ている中、主人公のギンコだけが洋服を着てうろついているのが面白いw

普通の人には見えないが、この世界に確かに生きて人に影響を与える蟲という存在。

大抵は悪い影響を及ぼすため、ギンコはその問題解決を請け負う「蟲師」を生業としています。

ギンコ以外の登場人物は毎回変わり、最初から最後まで一話完結で進んでいく物語。

その雰囲気は「静謐」。厳しい環境の中で必死に生き抜く人間達の姿を淡々と描いており、人情話も多いためじんわりとした感動を誘います。

アニメ描写についても、当時としては非常に綺麗な線で雄大な自然や不可思議な蟲を描いており、そこにマッチする静謐な音楽も加わって、かなりレベルの高いものであったと感じさせます。

イメージ的には「夏目友人帳」に近いかな。あれからギャグ要素を抜いて、暗め(「新世界より」風)にした感じ。例えが分かりにくいかw


さて、全体を通して考えていたことを2点。

ひとつは「ギンコが優秀」ということ。

この手の問題解決系の物語において、主人公の有能さはカタルシスの根幹を成す重要な要素です。

特に推理小説においてはその傾向が顕著で、シャーロック・ホームズは存在が大き過ぎますが、コナン君や金田一君、ドラえもんなんかもその部類かな。

とにかく何が起きてもこいつが出てくれば何とかしてくれるという信頼感が、視聴者の快感に繋がっているわけです。

本作のギンコもこの手の主人公で、普段は飄々としているのに(この頼りない感じも重要!)、いざ蟲の話になると目つきが変わり、豊富な知識、探究心、面倒見の良さ等を発揮して問題を解決に導きます。

時には悲しい結末になることもありますが、そんな時でも静かに教え諭し精神的な解決を図るのもすごい。

見た目20代なのにどんだけ修羅場潜ってんだよって思いますねw


もうひとつは「蟲も生きている」ということ。

人には見えず、害となることが多い蟲もこの世界で種を残すために必死でもがく生物なんです。

そのため「食物連鎖」や「弱肉強食」の論理の中で時に人を利用して生き残る蟲もいるわけですが、それも自然の摂理。

童謡「てのひらをたいように」が心に浮かびましたね。「かえるだって、おけらだって、あめんぼだって、(蟲だって)」。

友達といえるかは微妙だけど、蟲も生きている仲間として認め合わなければならない。

そんなダイバーシティの概念も詰め込まれた作品というのは、相変わらず私だけしか考えない視点でしょうかw


最後はちょっと壮大になりましたが、夏の夜にのんびり見る作品としてどうぞ。