大切なことはすべて音楽とゲームとマンガから教わった

ひきこもり系三大趣味について心に浮かぶことを書き留める

BLUE GIANT(映画)

石塚真一さんのジャズをテーマとした漫画が原作で、昨年待望のアニメ映画化。今般DVDレンタルが開始されたので早速視聴しました。

原作の方は2021年にブログ書いてるのでそちらをご参照。もちろんネタバレ厳禁なのでストーリーは割愛です。


演奏パートは、ピアノが上原ひろみさん、サックスが馬場智章さん、ドラムが石若駿さんといずれも一流の方々で圧巻です。

最近のアニメは取り上げる題材(本作で言えばジャズ)のリアリティは徹底しているので、その点はもはや驚かない。それくらいサラッとすごいです。

全体の3分の1くらいの時間を演奏パートに使っているので、まずは演奏を堪能してください。


個人的に考えたこと(私だけシリーズ)。

音楽ドラマにはよくあるのですが、本作でも音楽を聴いている人が涙するシーンがよく出てきます。

確かに私もよく泣きます。電車の中で音楽だけ聴いて泣いている変な人w

ドラマや映画と違って、音楽はそれ自体には分かりやすいストーリーってないですよね。

なのになぜ音楽が好きな人は音楽だけを聴いて泣くのでしょうか?


私としては、「長い時間をかけて積み上げてきた音楽人生の中で、自分にだけフィットする音楽に出会うことができた奇跡」に涙しているんだと思ってます。

クラシックでもジャズでも洋楽でも、音楽好きな人はまず自分が選んだジャンルの中で膨大な時間をかけて音楽を聴き続けます。

私の場合はその対象はJPOPですが、流行り歌、話題になったアーティスト、雑誌やネットの特集、テレビやラジオでたまたま流れた曲、ジャケットで惹かれたアルバムetc.あらゆるきっかけを掴んで次から次へと聴きます。

しかしそのほとんどは自分の体に真にフィットするものではないのでスルー。

慣れてくると大体1分くらい聴いて「ああ、これは違うな」と判断して次の曲に移る。この作業を延々と繰り返しているわけです。


そして、この作業の果てごくまれにメロディ、アレンジ、ボーカル、演奏のすべてが自分にフィットする曲に出会えることがあります。

1年間で新しく聴く曲が500曲くらいだとすると、ビビッと来て年末にプレイリストにするのが10-15曲(約2%)、その中からその後何年もリピートする神フィット曲は多くて5曲(1%)くらいかな。

この1%に巡り会えた時に「ああ、この作業を続けてきて良かった」という自分への慰労とともに感動が訪れて泣くのだと思います。


作中にも「ジャズを信じてきて良かった」という台詞が入ります。

ジャズは特に、一般の人は意識してその世界に入らないと聴く機会が少ないので、なかなかその良さを理解してもらうのが難しい。

さらにジャズは曲というよりはソロやアドリブといった演奏に重きを置く音楽なので、本当に素晴らしい演奏に巡り会える確率はさらに低く、まさに一期一会という言葉がぴったりなのだと思います。


私のJPOPも同様で、上記の1%の中に流行り歌が入ってくることはあまりないので、自分だけが良いと思って聴き続けています。結構孤独w

でもたとえ誰にも理解されなくても、自分だけが満足できる曲に巡り会えること。それが究極の幸せなんです。

「趣味」ってそういうものだよなと思わせてくれる本作。音楽好きならぜひどうぞ。